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排水管の中の固着した油は、水では落ちません

2026.11.04

夏のあいだ、美道に寄せられるご相談で多いのは、売場の冷蔵ケースの水漏れです。ところが冬になると、ご相談の場所が変わります。冬は気温も湿度も低いため、冷蔵ケースから出る水(ドレン水)はほとんどなく、売場の冷蔵ケースの水漏れのご相談は落ち着きます。

かわりに詰まりやすくなるのが、油を含んだ水が流れる作業場の排水管です。夏は売場、冬は作業場。季節によって、気をつけたい排水管は変わるのです。

冬に詰まるのは、油が流れる作業場の排水管

冬に詰まりやすいのは、次のような排水管です。

●シンクの排水管
●食器洗浄機の排水管
●グリストラップから先の排水管
●外部マスの排水管

どれも、スーパーの精肉・鮮魚・惣菜の作業場や、飲食店の厨房から、油を含んだ水が流れていく先です。

油は、冷えると固まる

ラードやバターが冷えると白く固まるように、排水に混ざった油も、温度が下がると固まります。冬は気温が下がり、配管や外部マスの中も冷えます。温かい洗い水と一緒に流れた油も、配管の中で冷やされて固まり、内側にこびりつきます。そこに次の油や食べかすが重なり、少しずつ水の通り道が狭くなっていきます。特に冷えやすいのが、建物の外にある外部マスと、その前後の排水管です。

12月から2月は、詰まりのご依頼が続く季節

美道に寄せられる排水管の油の詰まりのご依頼は、12月から2月にかけて、どの月も多くなります。同じ冬でも、月によって詰まる理由が変わります。

主な原因

起きやすいこと

12月

忘年会やクリスマス、年末の営業で、流れ込む油の量が一年で一番多くなる。大掃除で、配管にたまっていた油汚れが一気にはがれて流れ込む 急に大量の油と汚れが流れ、配管が受け止めきれずに詰まる

1月

気温がさらに下がり、12月に流れきらずに残った油が固まる。お正月休みのあいだに、配管に残った油が冷えきって固まる 休み明けの営業再開のときに、詰まりが表に出る

2月

寒さが一年で一番厳しくなり、屋外の排水マスや地面に近い配管まで冷えきる。冬のあいだに重なった油の層が限界に達する 配管の中が狭くなり、わずかな油や洗剤のかすでも詰まる

12月は「流れ込む油の量」が、1月から2月は「冷えて固まる油」が、詰まりの原因になります。

固まった油は、水では落ちない

フライパンに残って冷えた油は、水をかけてもなかなか落ちません。でも、お湯をかけるとゆるんで落ちていきます。排水管の中でも、同じことが起きています。

下の動画は、美道がまだ温水洗浄車を持っていなかったころ、店舗の作業場にあるグリストラップの排水管を、水で30分近く高圧洗浄したときの配管の中の様子です。表面は少し削れても、固まった油の塊は最後まで配管に貼りついたままでした。

一度こびりついて固まった油は、水の力だけでは落としきれないのです。水が流れるようになっても、油の塊が残っていれば、すき間にごみや油が引っかかり、詰まりは何度でもくり返します。

固まった油には、温水の高圧洗浄を

固まった油を取り除くには、まず油をゆるめることが必要です。そのために美道が使っているのが、国内で稼働している台数がまだ少ない、超高圧温水洗浄車「HOTジェッター」です。

お湯で油をやわらかくし、強い水圧でそぎ落として、配管の外へ流し出します。温度だけでなく、水圧やノズルも、汚れや配管の状態に合わせて選ぶのが専門の温水高圧洗浄です。単に熱いお湯を流すこととは違います。

美道が対応したラーメン店では、内視鏡カメラの先が入らないほど厚い油の層がありました。まず温水で油をゆるめてから管内を確認し、取り除いています。

関連記事:ラーメン店の排水が流れない!

放っておくと、温水でも落ちなくなる

ただし、固まった油を長いあいだそのままにしておくと、話が変わります。油は配管の中で少しずつ分解され、水に含まれるカルシウムなどと結びついて、石鹸のような硬い塊に変わっていきます。この塊は水に溶けにくく、温水の高圧洗浄でも落とすのが難しくなります。美道が対応した現場にも、長年たまった油が石のように硬くなり、高圧洗浄では取れず、専用機材で削り取る工事が必要になった配管があります。

温水で落とせるうちに洗っておく。それが、お店を止めないための一番の近道です。温水と水圧を組み合わせる理由や、配管の状態による温度・圧力の調整については、別記事「超高圧温水洗浄とは?」で解説しています。

作業場の排水が止まると、売場も止まる

作業場の排水が詰まると、シンクも食洗機も使えなくなります。精肉や鮮魚の加工、惣菜づくりが止まれば、売場に商品を並べることもできません。

スーパーや飲食店にとって、年末は一年でも特に忙しい時期です。その時期に作業場の排水が止まると、影響はさらに大きくなります。そして年末を過ぎても、寒さが一番厳しい2月までは、油の詰まりに気をつけたい季節が続きます。

冬のうちに、作業場でできること

1.グリストラップをこまめに掃除する

グリストラップのかごにたまったごみや、水面に浮いた油を取り除きます。ここで油を止められれば、その先の排水管に流れる油が減ります。

2.熱湯を流さない

固まった油を、熱湯を流して溶かそうとするのは、逆効果になることがあります。溶けた油が先の配管で冷えて、また固まるためです。温水の高圧洗浄で油を取り除けるのは、温めるだけでなく、水圧でそぎ落として配管の外まで流し出すからです。また、60℃を超えるお湯は、塩ビ製の排水管の変形やつなぎ目のゆるみの原因になります。

3.寒さが本格化する11月のうちに、温水で配管と外部マスを洗っておく

配管の内側に固まった油は、店舗での掃除でも、水の高圧洗浄でも取りきれません。詰まりのご依頼が増える12月を迎える前の、11月のうちに温水の高圧洗浄で一度洗っておくことが、年末から2月にかけての備えになります。油が石のような塊に変わる前に洗うことにもなります。

夏は売場、冬は作業場

冬は、売場の冷蔵ケースが落ち着くかわりに、作業場の排水管に気をつけたい季節です。寒さが本格化する前の今のうちに、一度、作業場の排水の流れを確かめてみてはいかがでしょうか。